

発行日と目次
発行日:1994年5月18日
以下、目次
序文 幻冬舎代表取締役・見城徹
はじめに
第一章:出版幻想論
・70年代の出版人・角川春樹を擁護する
・「良書」幻想を支える「読書人」
・書評されない本が売れる本
・「良書」の押し売りは書店の迷惑
・文芸編集者は税金対策
・編プロ受注率が出版社を左右する
・本にも賞味期間がある
・広告代理店より読者にきけ
・便乗本は恥ではない
・ベストセラーは関西から生まれる
・コンビニとスポーツ新聞に学べ
・CD‐ROMの可能性
・図書館は出版産業の敵だ
・それでも出版社に入りたい人へ
第二章:出版幻想論に反論する
リテレール編集長・安原顕 vs 藤脇邦夫
第三章:便乗本は売れなかったら恥になる
データハウス代表取締役・鵜野義嗣 vs 藤脇邦夫
第四章:書店現場レポート
・売れることが最大の価値指数
・出版における新商品とは
・仕方なく「女性の時代」
・書店の平均客単価から出版を考えると
・新聞広告と書評の空洞化
・90年代の出版界を予想する
・本が売れるある瞬間
・「クローズドマーケット」を越えた趣味の雑誌
・エロ本は不況に強いか?
・編集者40代定年説
・出版のリストラは編集者から
・出版社の経費節減事情
・「カネを刷っているような本」の作り方
・マンガが一般書になる理由
・「実用情報誌」の時代?
・ある出版人の死
おわりに
説明や感想など
白夜書房の営業を務めていた著者が、「良い内容の本であれば売れる」という出版界の幻想に異を唱えた著作。
著者の藤脇邦夫氏は元は編集者志望だったからか、営業でありながらも多彩なジャンルの活字や雑誌に造詣が深く、『漫画ブリッコ』というロリコン漫画雑誌の草分け的な雑誌を企画した人物でもある。
漫画のこともよく知っているからか、後に少年ジャンプ三代目編集長である西村繁男へのインタビューを書籍化した「まんが編集術」という著作も作っている。
出版されたのは1994年で、おそらく活字や雑誌がじわじわ売れなくなって来ていた時代。
この頃すでにPCやインターネットは存在していたけど、デスクトップPCが40万円、ノートPCが80万円くらいで販売されていた時代なので、まだそれほど一般的ではなかった時代です。
過激な内容ではあるものの、無意識化で『本』を特別視してしまう我々のような人間に、普段は意識しない営業目線や書店目線の考えを与えてくれる、貴重な本でもあると思います。
かなり勢いよく書きすぎたせいか、3年後に出版された「出版現実論」によると、この本で随分と知り合いを無くしたらしい。
出版界は、氏の予想とはやや違った方向で生き残ってはいるものの、懸念していたことはその通りになってしまったのではないでしょうか。

コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 前著、「出版幻想論」から3年後に発売された作品。 […]