
発行日と目次
発行日:1998年6月1日
目次は以下。
第1章:“白い風魔”ブリザードと黒い海
第2章:もっこ担ぎから始まった六三三制
第3章:マッチ棒一本で決まった人生航路
第4章:日本初!週刊マンガ両誌の誕生
第5章:マンガの王者「アトム」に挑戦!
第6章:受験地獄世代を癒した0点主人公
第7章:少年誌と玩具とのドッキング作戦
第8章:衝撃の「W3」「8マン」事件顛末
第9章:「のらくろ」に秘められた“真実”
第10章:編集長新任の一週間で考えたこと
第11章:劇画-アングラからメジャーへ
第12章:”読者からの発想”と梶原三部作
第13章:”天上に輝く星”を目指した道程
第14章:マンガは主食であり、文化である
第15章:靴底話から生まれた不朽の大名作
第16章:”一枚の絵は一万字に勝る”宣言
第17章:「ぼくは四十歳までに死ぬ男だ」
第18章:”力石徹の告別式”を実況生中継
第19章:百五十万部の金字塔と豊川稲荷様
第20章:臨死体験?と「アシュラ」大騒動
第21章:変身スーパー・ヒーローが総登場
第22章:新聞と雑誌、テレビと映画の谷間
第23章:もう一人の自分が眠りこけている
第24章:オイル・ショックでMOOK創案
第25章:新所沢・梁山泊に集った奇才たち
第26章:”ぼくたちジャーナリズム”の発想
第27章:”昆虫化”世代のライフスタイル
第28章:国産グラビア誌の開発と流通革命
第29章:”ポルノ、載せる、載せない”論争
第30章:ハブが教えてくれた石津謙介起用
第31章:あとから行く者はかならず勝つ!
第32章:文化の本質は寄生木性にあらずや
第33章:二一世紀を望見する”地球文明誌”
第34章:奇を猟せず奇に偏せず奇を好む心
第35章:”太陽”の文明と”月”の文明の統合
第36章:メディアと教育-明日への提言
あとがき
説明や感想など
少年マガジン三代目の編集長であり、「伝説の編集長」とも称される内田勝氏の著作。
当然、著者だけの功績ではないですが、彼がいなければ
・ウルトラQと後のウルトラマンシリーズ
・巨人の星、あしたのジョー
・ゲゲゲの鬼太郎
が生まれなかったことを考えるだけでも、1960~1970年代の日本の大衆文化に多大なる影響を与えた人物と言って差し支えないと思います。

梶原一騎を漫画の世界に誘い出したこともさることながら、その勝負となる作品の作画に、当時まだそれほど有名ではなかった川崎のぼるを周囲の反対を押し切って推薦するなど、やはり優れた仕事人は『慧眼』こそが重要なのだなと思わせられます。
川崎のぼるが漫画の世界に足を踏み入れたエピソードについては、佐藤まさあきの「劇画の星をめざして」に記載がありました。
読売新聞オンラインにご本人のインタビューもあり。:[道あり]漫画家 川崎のぼるさん
Amazonのレビューで
『大きな仕事を成し遂げた人物が回顧録のような著作を書くことが多いが、ここまで見事な文章を記される方は極めて稀』
といったコメントを見かけましたが、同感です。
今も読み継がれている『トヨタ生産方式――脱規模の経営をめざして/大野 耐一』と比べても遜色ない内容だと個人的には思いますし、「人を動かす」とか「7つの習慣」などを読むより、得られるものがあるのではとも思います。
この記事を書くにあたってパラパラと再読していたら、漫画を描く水木しげるの姿を見て、彼を信ずるに至った描写が、『ゲゲゲの女房』で語られていた、水木の妻が水木を信じた描写と重なり、思わず目頭が熱くなってしまった。



コメント
コメント一覧 (3件)
[…] 内田勝の『奇の発想』は雑誌から生まれる新しい文化の潮流、その仕掛人たちと仕事ぶり、という内容に軸足を置いている印象でしたが、四代目編集長である宮原照夫のこの著作は […]
[…] 「奇」の発想: みんな『少年マガジン』が教えてくれた/内田 勝 【発行日と目次】 発行日:1998年6月1日 目次は以下。 […]
[…] マガジンについては三代目編集長の内田勝、四代目編集長の宮原照夫がそれぞれ著作を書いているため、情報が豊富ですが、サンデーは(というか小学館系は)私の知る限りあまり著作がないので、この本はかなり貴重な存在だと思います。 […]