ヴァーチャル日本語 役割語の謎/金水 敏

目次

発行日と目次

発行日:2003年1月28日

目次は以下

第一章 博士は〈博士語〉をしゃべるか
1:お茶の水博士
2:天馬博士
〈博士語〉をしゃべらない博士/〈博士語〉は〈老人語〉?/「現実」とのずれ
3:〈博士語〉をさかのぼる
  手塚治虫の初期作品/日本SFの祖・海野十三/『少年倶楽部』
  『立川文庫』と演芸速記本/戯作の世界/『四谷怪談』から
  江戸語の形成/〈博士語〉〈老人語〉の起源

第二章 ステレオタイプと役割語
1:ステレオタイプって何
小説家の悩み/ステレオタイプの研究
2:「現実」対「仮想現実」
役割語と位相・位相差/現実と役割語との距離
3:文化・メディアとステレオタイプ
サブタイプ化/二重処理モデル/分離処理モデル
4:ヒーローの旅

第三章〈標準語〉と非〈標準語〉
1:〈田舎ことば〉はどこの言葉か
「夕鶴」から/〈田舎ことば〉の起源
2:〈標準語〉の構造と役割語
役割語としての〈標準語〉/話しことばと書きことば
役割語度/役割語度と自己同一化
3:〈標準語〉の成立
〈標準語〉以前/言文一致運動と標準語
マスメディアと〈標準語〉/転落する〈上方語〉
4:大阪人・関西人キャラクターの変遷
パーやん/大阪人・関西人のステレオタイプ
大阪人・関西人のルーツ/近代マスメディアの中の大阪人・関西人
好色・暴力と大阪人・関西人/ステレオタイプの変容

第四章ルーツは〈武家ことば〉――男のことば
1:〈標準語〉の変化
雨ふり/役割語度の変化
2:〈男性語〉の歴史
〈書生ことば〉/「~たまえ」の歴史/
ボクとキミ/ボクとオレ
3:仮面(ペルソナ)としての役割語

第五章お嬢様はどこにいる――女のことば
1:お蝶夫人
2:言葉の性差
文法的特徴から/男女専用表現と傾向的表現
3:『浮世風呂』の女たち
4:江戸語と近代〈女性語〉
5:「てよだわ」の発生
『浮雲』の母と娘/非難されていた「てよだわ」
6:「てよだわ」世にはばかる
メディアとしての女学校/小説に見る「てよだわ」
7:「てよだわ」なおも広まる
女学校の外へ/全国への拡散
8:「てよだわ」の衰微
戦後の〈女性語〉の変化/「~てよ」の文法
少女と〈お嬢様ことば〉/役割語としての〈男性語〉〈女性語〉

第六章異人たちへのまなざし
1:〈アルヨことば〉
2:異人の分類
3:言語の投影
さまざまな投影/黒人と〈田舎ことば〉
4:〈アルヨことば〉の原型と展開
ピジンの適用/Yokohama Dialect
アリマス系とアル系/中国人へのまなざし/「のらくろ」から
5:役割語を超えて

附録 役割語の定義と指標
用例出典一覧
参考文献
あとがき

説明や感想など

日本語学者である金水敏による「役割語」についての著作。

・なぜ博士キャラや老人キャラは「〇〇じゃよ」と喋るのか。
・お嬢様キャラはなぜ「〇〇ですわ」といった言葉使いをするのか。
・関西人キャラはなぜ粗野なイメージで描かれるのか。

現実ではそのような言葉使いをしないにも関わらず、なぜ『登場人物』たちはこのような言葉の使い方をし、そして読者は違和感を感じないのか。

そういったことがらを詳細に検証したうえで、分かりやすく解説してくれます。

大変に面白い本でした。おすすめ。

この記事を書いた人

1970年代生まれ。少年ジャンプは黄金期、就職は氷河期の世代。

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