こんにちは。 読書好きのみやんと申します。 (マンガ歴35年、活字歴20年)
「最近は、”どうすれば人気が出るのか”を計算したようなマンガが多いなぁ・・」とか思いませんか?
もっと突き抜けた、そう、『馬鹿なお前』が見たい。
そんな方にうってつけのマンガが
どくヤン
という作品。
・マンガが好き
・読書が好き
・ヤンキーではない
この条件が揃っている方には、大変におすすめできる内容となっています。(ヤンキーの方でも活字が好きならおすすめです)
どくヤンとは?
どくヤンとは、
在校が許されるのは「本が好き」な生徒のみ、という毘武輪凰高校が舞台。
学力は問われないため、自然ヤンキーが集まるが、『読書×ヤンキー』という相反する校風がゆえ、在校し続けられる生徒はごくわずか。
そんな「読書が好きヤンキー」たちが、好きなジャンルの本を語ったり、ときにはバトルを展開する。
という、読書ヤンキーギャグマンガ。Dモーニングで連載後、アプリ「コミックDAYS」にて掲載。
作画:カミムラ晋作
原作:左近洋一郎(ルノアール兄弟)
※リンクはWikipedia
単行本は全3巻で完結済み。
となっています。
紙の1~2巻は出版社在庫切れ。新品で手に入れるのが難しい状況になっています。
※紙の3巻は別の出版社から発行されたため、タイトルが『どくヤン! 読書ヤンキー血風録』となっています。
どくヤンの評価と口コミ
どくヤンのレビューと口コミ情報です!
読書という題材を上手く扱っているところがスゴイ
このマンガの特異な点は『読書』を題材に扱った点にあると言えるでしょう。
小説のコミカライズでもなく、文豪のキャラ化でもなく、「読書」なんですよね。
ヤンキーたちが校舎にスプレーで落書きする文字が『夜露死苦』『喧嘩上等』などに加えて、
『団鬼六』、『西尾維新』、『海野十三』、『銀色夏生』
だったりします。
読書好きなら、もう、これだけで笑ってしまいますよね。
ちなみに私は長い間、銀色夏生のことを「ぎんいろかせい」だと思ってました。恥ずかしい生涯を送って来ました。生まれてすみません。
他にも読書を題材にした、思わず真似したくなるお馬鹿なバトルなどがあるのですが、長くなるので割愛します。
新しい本との出会いがある
どくヤンは、昭和の文豪作品からSF、官能小説、フリーペーパーや「マイブック」、ライトノベルまで幅広く、並列に扱っています。そこに見られるのは、本への愛。
私は料理が好きなので、このマンガで紹介された『梅安料理ごよみ』を読んでみたくなりました。
という感じで、読書好きなら「この作品、読んでみたい」という出会いがきっとあるでしょう。
そう考えると、ある意味、活字界に寄与できる存在とも言えるのではないでしょうか。出版社や書店は、もっとこのマンガをPUSHしようぜ!
かなりの労作?
(私は漫画家ではありませんが)作り手側の観点で考えると、この作品を描くにあたって
等が毎回考慮されていたかと思われます。
それでいて、採り上げた作品に興味を持ってもらえるような解説まで入れているのだから、1話1話、作るのがかなり大変だったのではないでしょうか。
とにかく読書が好きな人に笑ってもらいたい、楽しんでもらいたいというのが感じられて、好きになっちゃうんですよね。
ファンの声で最終巻が紙で出版される
実は最終巻である「3巻」が紙で発行されず、電子書籍のみだったんですよね。
しかし、『紙で買いたい!』というファンの声に応えて、別の出版社から最終巻が発行されるという、異例の事態を生み出しました。※発行したのは本の雑誌社という出版社
書店もPUSH
妻や知人に見せてみた
最近は私がおすすめするマンガを読んでくれない妻も、どくヤンを見せたら
「これは読むよ!」
という強い(?)反応を示しました。
1970年代生まれの私と同世代の知人に見せてみると、
「良いですね~~。この売れようと思ってない絵!こういうマンガ、最近ないですよね」
と、好反応?でした。(彼は普段活字を読まないので、多分買わないだろうな・・・)
※ドンピシャハマりそうな知り合いが数人いるので、今度読ませてみます。
どくヤンで紹介されていた読書アイテム
数は多くありませんが、作品中に読書用アイテムも登場したりします。
作品内で出てきたアイテムはこちら。扉付き本棚は気になるけど、置くスペースがないな・・。防水ブックカバーは今度買ってみます。
どくヤンの元ネタを2つ解説
原作の「左近洋一郎」氏は1979年生まれで私と世代が近い方。
ジャンプ黄金期~マガジン黄金期を渡り歩いた世代なので、その頃のマンガが一部ネタとして使われています。
以下、世代じゃない方向けに元ネタを説明。
■1巻「第4話」 箴言本ヤンキー/阿符織瞑
今まで数々のどくヤンから箴言を奪ってきた
そして―
その総数999!!
そのすべてがこの特攻服に刺繍してある!!
色んな本の箴言をどくヤン(読書ヤンキー)たちから奪い、特攻服に縫いつけてきたという箴言マニアのキャラクター。
元ネタは『キン肉マン』に登場するネプチューンマン。対戦相手のマスクを奪い、マントの下にコレクションしていた。参考サイト:https://yogotoyomaigoto.hatenablog.com/entry/2020/04/18/173346
ちなみに「あふおりつむる」という名前は、アフォリズム=箴言が由来かと思われます。
■3巻「第4話」 積読本ヤンキー/鬼積読 永遠
行こうぜ! 〝積読の向こう側″ によォ!!
特に何気ないコマでのセリフですが、元ネタは『特攻の拓』。バイクにもかなりスポットを当てたヤンキー漫画。「スピードの向こう側」という、分かるようでよく分からないキーワードが作品の重要なテーマとなっていた。 参考サイト:http://blog.livedoor.jp/nico__25/archives/1672287.html
そういえば宮沢賢治を愛読していた天羽時貞くんって、どくヤンですよね。※天羽くんは特攻の拓に出てくる重要キャラ
作者の他作品
どくヤン作者の他作品はこちら!
Kindle Unlimitedで読めるものもあるので、気になった方は読んでみましょう!
■カミムラ晋作(作画)
・サイカチ 真夏の昆虫格闘記(週刊少年チャンピオン 2005年-2006年、1巻まで刊行)※原作:藤見泰高
・ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記(チャンピオンRED 2007年-2010年、全10巻) ※原作: 藤見泰高
・マジャン ~畏村奇聞~ (E★エブリスタプレミアム 2011年-2013年、全11巻)
※マジシャンはKindle Unlimitedなら全巻無料
・おとうふ次元(ComicWalker 2015年-2017年、全3巻)※原作:森繁拓真
・トリアーデ(ComicWalker 2020年-2021年、全2巻)※協力:愛澤圭次
■左近洋一郎(原作)※「ルノアール兄弟」名義で活動
・セクシーDANSU☆GAI ユビキタス大和(週刊ヤングマガジン 2008年-2010年、全4巻)
・公園兄弟(ビッグコミックスピリッツ 2011年-2013年、全1巻)
・をのころん(漫画サンデー 2012年-2013年、全1巻)※作画:高本ヨネコ
・少女聖典ベスケ・デス・ケベス(別冊少年チャンピオン、2014年~)
など。
あとがき
最近は「え、このマンガ面白いのに全然話題になってない・・・」と思うことが増えてきました。
単に自分が老害化しているだけかもしれませんが、情報伝達がカオスになっているのも一因なのかもと思ったりもします。「このマンガが面白い」っていう情報の拡がりかたって、アプリと雑誌とで違うでしょうし。
個人的にこの「どくヤン」は本来刺さる人に届いてなかったんじゃないかなぁ、と思いました。私もたまたま発見しましたし、このマンガが好きそうな知人は全く存在すら知らなそうです。
というわけで、不肖ながら記事にして紹介させていただきました。
どくヤンファンの方、どくヤンを気に入った方は、ぜひ魅力を伝えていきましょう。なんかそうやって拡がるの、面白そうですし。
最後に、どくヤンにあやかって、最近読んで面白かった本を紹介して終わりたいと思います。
■ヴァーチャル日本語 役割語の謎
「〇〇じゃよ」などと喋る博士は現実にはいないにも関わらず、なぜ我々は違和感なく受け入れることができるのか。
このような、ある役割を想起する言葉遣いはどのように生まれ、拡がったのか、を分かりやすく解説してくれる作品。
どくヤンで言えば、
ほとんどのキャラクターは標準語なのに、なにゆえ私小説ヤンキーの獅翔雪太は広島弁風の言葉を喋るのか
その理由が見えてくるかもしれません。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
ちなみにサイン入り本、私は時代小説ヤンキーの『地代康尚』でした。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] パリッコさんは現在(2023年7月)、原案:パリッコ/漫画:ルノアール兄弟の『パリッコの都酒伝説ファイル』を漫画アクションで連載中※ルノアール兄弟(の左近洋一郎)がカミムラ晋作と組んで描いた「どくヤン」という作品も一風変わっていて面白いです。 […]